人類が作り出した最悪の猛毒ダイオキシン

ダイオキシンは、炭素、水素、塩素が結び付いた化学物質で、
もっとも毒性の強いものは青酸カリの千倍ともいわれ、ごく微量を摂取しただけでも、
ガンの発生、ホルモンの障害、奇形児の誕生などの原因なるとされている猛毒です。

自然や人間に大きな被害を与えるダイオキシン

焼却施設などで発生したダイオキシンは、大気、水、土壌など環境を汚染し、難分解性のためどんどん蓄積していきます。その結果、野生植物の生殖系に異常をきたし、その種が滅びることもあります。
また、魚や家畜、農作物などに生物濃縮され、人のロにも入ってきます。体内に取り込まれたダイオキシンは脂肪に解けやすいため、なかなか排出されず、発ガンしたり、生殖障害を起こします。
特に、母体が汚染された場合、ダイオキシンは母乳として体外に排出されますが、それを飲む乳児は蓄積して成長するため、将来を危惧する事態が必ず起きてしまいます。

ダイオキシンを含む物質のゆくえ

ゴミ焼却炉でのダイオキシン発生のプロセス

焼却炉で炉内温度を800℃に設定してゴミなどの有機物を燃やしても、焼却物は100℃ から800℃ へと温度が上昇していきます。その時300℃~600℃の温度帯を必ず通過することになります。このゾーンを不完全燃焼帯と言います。このゾーンにはたくさんの一酸化炭素が発生しています。このゾーンで燃焼していると炭素が結合したベンゼン環が発生し、これに、ポリ塩化ビニール等を燃やすと発生する塩素が取り付くと、ダイオキシンの前駆体であるクロロベンゼンに変化します。この時点で一酸化炭素と焼却灰を触媒として酸化反応を起こし、猛毒ダイオキシンが生成されるのです。

ゴミ焼却炉でのダイオキシン発生のプロセス

ポリ塩化ビニールがダイオキシンの源

ポリ塩化ビニールは、ポリエチレン、ポリプロピレンに次いで3 番目に生産量の多いプラスチックです。軟質、硬質、繊維質等、ポリ塩化ビニール製品は私たちの身の回りにあふれています。
ポリ塩化ビニールには、塩素が5 6 . 8 % 含まれるため、焼却による酸化反応の際に多量の塩化水素を発生し、それが塩素源となり他の炭化水素化合物と結合してダイオキシンが発生しますが、ポリ塩化ビニールそのものを焼却してもダイオキシンが生成することもわかっています。
ポリ塩化ビニール製品の主な用途

焼却炉内温度を800℃にしてもダイオキシンは発生する

焼却炉内温度を800℃ 以上に保てばダイオキシンは発生しないと言われています。しかし現実にば焼却物を投入した直後は、その周囲温度は1 00℃ 位まで下がり、800℃に上昇するまでにダイオキシンが一番発生しやすいと言われている300 “‘ 600℃ の温度範囲を必ず通過することになります。この間にダイオキシンが発生してしまうのです。一度発生したダイオキシンば炉内温度を1250℃ 以上にしなければ分解しません。これはバッチ式連続焼却炉の場合でも同じです。

バッチ燃焼方式と連続燃焼方式

焼却物に生ゴミが混入しているとダイオキシンの発生量も増大する

焼却物に生ゴミなど水分を多く含むものが混入されていると300℃~600℃ の温度範囲がさらに広くなり、ダイオキシンの発生量も多くなってしまいます。

焼却物に生ゴミなど水分を多く含むものが混入されていると300℃~600℃ の温度範囲がさらに広くなり、ダイオキシンの発生量も多くなってしまいます。

ダイオキシンは排気ガス中より焼却灰、飛灰に多く含まれている

マスコミ等では、ゴミ焼却場の煙突から排出される、排ガスに含まれているダイオキシンによる被害が大きく取り上げられていますが、実はダイオキシンは排気ガスよりも焼却灰、飛灰に多く含まれているのです。
厚生省の報告では、焼却施設で発生する全ダイオキシンの8 割から9 割が焼却灰、飛灰に含まれている、と発表されています。日本中の焼却施設で発生しているこの焼却灰、飛灰の処理こそダイオキシン汚染が日本中に広がるか否かの大問題なのです。

最終処分場からもダイオキシンの汚染は広がっている

焼却灰は排出量が多く、また飛灰は高濃度のダイオキシンを含む微粒粉塵のため、これを取り扱う焼却施設の労働者の被曝(特に保守管理のために焼却炉や集塵器の灰を掻き出す作業) が問題になります。
また、焼却施設内だけでなく、灰の搬出輸送経路や最終処分場でのダイオキシンの環境汚染防止、特にダイオキシン含有の浸出水の河川への放流についても、沿岸• 河川漁業、農業、酪農や人間の飲料水に対して大変な問題になります。

焼却灰、飛灰の溶融硬化は資源の無駄遣い

溶融固化というのは、焼却灰、飛灰を1250~1450℃ で高温処理し、溶融スラグとするもので、ダイオキシンの99 % 以上が分解可能とされています。この灰からできたガラス質のスラグを路盤剤やセメント骨材として再利用ことが一部の自治体で実施されています。
しかし、溶融固化工場での工程トラブルや原料由来のダイオキシンによる製品汚染などで、ダイオキシンが予想通りに低濃度にならない場合(分析に1 ヶ月以上かかる)や高温で処理するために、膨大なエネルギーがかかってしまうなど、決して有効な手段とはいえません。

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